歌舞伎の中村芝翫さんが今週、お亡くなりになった。競馬好きで有名だったが、実は亡くなる3日前に100円で18万馬券を当て、その金を元手に翌日80万をゲットしたという。死の直前まで勝負して大穴を当てたばかりか、コロガシまで成功させているのである。さすがは人間国宝だ。
ひつぎには皆がせっせと折った、折り鶴ならぬ折り馬が2000頭も入れられたという。
格好よすぎる。ボクも死ぬ直前に大万馬券をせしめ、家族に遺したいと思う。思うのだが、ボク持ち前の勝負弱さでは、そうはうまくいくまい。で、ひつぎを囲む家族に言われるんだろう。
「お父さん、サンスポの読者には最後まで迷惑かけたわね。さぞ心残りでしょう。家族に大金を遺してやると息巻いてたけど、気持ちだけで十分よ。初めから期待してなかったし。写真判定で負けて卒倒死。最後までお父さんらしい終わり方でよかったね。山と積んだ競馬新聞を全部詰めてあげるから、あの世でも格闘して、また地獄を味わってね」
スピルバーグが若い頃に撮った映画に「恐怖の館」というのがある。その館では奇怪な出来事が多発し、やがて住人は何かに魅入られたようになってしまうという恐怖映画だ。
で、このたび、そんな恐怖の館が実在することが分かった。神戸にある競馬仲間T氏のマンションである。
ボクとK氏が毎週のようにそこへ通い、3人一緒にWIN5を買っているのだが、WIN1か2ぐらいでハズれて一瞬で予定終了になってしまうため、取り返すためにとT氏が共同馬券をわんさか買うのである。ボクらに聞いた穴馬を取り込んだりして自分で買い目を決めてしまい、PATで購入。負けたら「あ~、惜しかったなあ。はい、一人8000円徴収」といった具合に、どんどん金だけ徴収されるのである。まったく恐ろしい。先週なんかWIN5の負けが一人2万なのに、10R以降の3連単の負けが一人6万である。全治1ヶ月の重傷なのだ。
今週も集合の号令。わざわざ電車に乗って恐怖の館に向かうのは、とてもつらいのである。
仕事や居場所を知られたくない人にうそっぱちの勤務先などを提供する通称アリバイ会社が、今週、全国で初めて摘発された。虚偽の源泉徴収票まで発行してくれるというから驚きである。
ボクも存在は以前から知っていた。引っ越す際に大家から求められて就労証明書を頼んできた弟子に、書くの面倒臭いからアリバイ会社を使えと言ってやったら、「何でですのんっ。ほんまに働いてるのに」と怒りよった。また、役所からの在籍問い合わせ電話に「そんな奴いてません」と答えてやって大騒ぎになったこともある。うちみたいにロクでもない奴が多い会社の社長としては、そういう対応を取りたくなるのは当然なのだ。
アリバイ会社の利用者は9割が風俗関係の女性とか。外出が多い営業職などとウソをつき、親をだましているのである。まったく恐ろしい話だ。先週書いたような、地方競馬へ行くと偽って女と旅行するオヤジよりタチが悪いのである。
女には絶対だまされないぞ。馬には何度もだまされてるけど。
スマートフォンを使って恋人の行動や通話履歴を確認できる「カレログ」なる商品が、ストーキングなどに不正使用できるツールになりうるという批判を受け、サービスの根本的な見直しを余儀なくされているそうだ。
ボクなんかどうせ使いこなせないが、犯罪防止とプライバシー保護策さえ講じれば、なかなかの商品だと思う。幼児がいる家庭や、どこほっつき歩くか分からん亭主を持つ主婦には重宝されることだろう(うちの嫁ハンがこれを使ってボクの行動を監視するなんてもはや絶対にないが、それはそれで寂しいもんだ)。
現実にボクは昔、嫁ハンに幼い娘を預けられ、動物園に連れていくと言って「馬しかいない動物園」に連れていったことが何度もあるし、先輩諸氏に「女と旅行に行くが家にはおまえと小倉競馬に行くことになってるから口裏合わせろ」と工作依頼され、メシをおごらせたことなんて数え切れんほどあるのだ。
こういうどうしょうもないオッサンたちのためにも、こういった商品は有用である。
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先週は某ロータリークラブで講演をした。絶対に断れない会員の方から依頼され、しぶしぶ引き受けたのだ。
唇にピアスしてるような連中相手に話すのは馴れているが、ここは一流企業の取締役クラスに中小企業の社長や弁護士さんなど地元の名士がズラリ。ボクごときに何を話せというのか。
悩んだ末、企業が広告を出す番組選択の指針が今もって「視聴率」であることの悲劇と時代錯誤性をデータで主張し、K阪電鉄の偉いさんもおられたので、休日に大阪から京都へ運んだ観光客をいかに早く帰らせないかが勝負なのだから、高視聴率だからと土日の夕刻にCMを打つのはどうかという強引な説を開帳。
調子に乗って戦略にまで口を出し、大阪から淀へ行った馬券師に向け、馬券で儲けたらすぐ帰阪せず、足を延ばして祇園で祝勝会を開きなはれというCMを打てばK阪は倍儲かると助言した。我ながら堂々たるものだ。
ボク自身は一度もそんな経験がないが、それは言わなかった。
※3日開催(9月17日・18日・19日)のため、掲載日変更
WIN5が初めて的中者ゼロ。他の公営競技と違って競馬はパイがデカイだけにこうはならないと思っていたが、なるのよね。ボクは特払いも見たことがないので、全員ボウズはまさに初経験だ。
4つ当てたエリート18人は、もう十分だろと思ったことだろう。戻す金が8億5千万ほどあったから、すでに4700万もらえる価値があったのに、まだ5つ目のレースが襲ってきて、全額没収とはツラすぎる。
ロト6のように、1つ外してもなんぼかもらえるシステムに変更すべきである。特に今回のようにふたケタ票まで残った人には、敢闘賞を差し上げてもいいだろう。あるいは「クイズ・ミリオネア」 のように、途中でリタイアできるとか。ボクなら4700万ブン捕って即リタイアだ(47万でもリタイアするかも)。
キャリーオーバー8億で大ハッスル…といきたいところだが、皆、金が残ってるのか? それが心配である。とても他人の財布を心配できる状況じゃないんだけど。
WIN5を競馬歴30年以上のオヤジ3人組で共同購入し続けているが、あまりに当たらないため、先々週からリレー登録方式という新戦略で応戦。
全員の申告馬は無条件で採用されるルールで、第1走者は比較的自由に穴馬も申告せよということで、ボクである。5鞍に対し、計7頭を申告。
第2走者はT氏で、人気のバランスを取る義務があり、ボク申告の馬以外から6頭を追加する。
アンカーはK氏で、前2走者が漏らした馬から5頭を選択し、最後に買い目を決定する重責を負う。言わば最高裁で、この決定は覆せない。
仲よくやってたつもりだったが、今週、いきなりアンカーが怒り出す。前2走者が人気薄を好き勝手に申告するため、わしは人気馬を押さえるのに精一杯、面白くも何ともないわりに責任だけ負わされて最低の役割だという怒りである。
というわけで、今週からボクがアンカーだ。無茶苦茶になるだろう。チーム名を「アリ地獄」にしようと思う。
ギャンブル依存症患者が、国内に推定400万人いるんだそうである。なんだ結構いるんだと、心強くなってきたりする。
で、その回復施設がこの春、西日本で初めて大和高田市で開設され、今週、最初の卒業生が巣立った。皆さん深刻であり、努力に頭が下がる。
何と言っても説得力抜群なのが、37歳の若き施設長。本人も元は依存症患者なんだが、大学時代から博打にはまり、消費者金融から600万借りたうえ、会社の金まで着服して解雇されたという豪傑である。
治療は3ヶ月の共同生活で行われ、ケータイ没収、博打に手出しできぬよう小遣い1日千円、無断外出禁止と厳しい。
問題は食費や講習費などが60万かかることで、そんな金があったらWIN5を半年は買えるのにと普通は考えてしまう。それこそが病気なんだからさっさと入所しろと言われたら、60万を馬券で捻出しようとしてヘタばるだろう。入所すらできない末期患者はどうすりゃいいの?
天竜川の川下りで観光客が亡くなった事故には胸が痛む。運営側や船頭に、こんな穏やかな川で…といった慢心があったのは間違いなく、ライフジャケットなしで船に乗せていたのには驚く。着用を嫌がる客には、「死んでもいいんですね」と脅してもいいぐらいなのに。
ボクは長年、釣りをしているので、いつも装備は完璧である。今まで海には3度転落。3度目は磯から落ちて負傷し、単独ではい上がれず周囲に助けられたが、ライフジャケットのおかげで今生きている。堤防やイカダの上で仮眠する時は、固定したロープを腕に巻いて寝る。
備えあれば憂いなし。さすが、先人はいいことを言う。何事にも万が一に備え、万全を期すのがボクの信条である。
だからWIN5でも、人気サイドはちゃんと押さえ、一発ある馬にも目を配る。万が一のための備えは万全である。なのに、憂いだらけだ。毎週憂いている。死にそうである。競馬を知らん先人はこれだから困る。
WIN5に入門したいので戦略を授かりたいと、Y村氏がボクの事務所にご来訪。かつては某局の名物プロデューサー、今は某大学の教授である。
この方は血圧の急変によって気を失う持病があり、今まで29回、救急車で運ばれている(「搬送のプロ?が語る正しい救急病院選び」という本を執筆はしたが、どこも出版してくれないとか)。
昔、ファイトガリバーが勝った桜花賞で財布が折れ曲がらんほどの払い戻しを受け、興奮して気絶したが、横にいたボクが彼のポーチから薬を取り出して口に放り込み、命を助けたというウソのような実話がある。
WIN5は4つ当てた時点で動悸が激しくなりますよと体験談を語ると「やっぱりそうなるか」と顔を引きつらせた。
「で、5つ目で1億ハズしたらどうなる?」
「間違いなく救急車」
「1億当たったら?」
「間違いなく死にます」
「う~ん、当てて死ぬかハズして死ぬか、それが問題だあっ」
勝手にしなはれ。