ギャンブル依存症患者が、国内に推定400万人いるんだそうである。なんだ結構いるんだと、心強くなってきたりする。
で、その回復施設がこの春、西日本で初めて大和高田市で開設され、今週、最初の卒業生が巣立った。皆さん深刻であり、努力に頭が下がる。
何と言っても説得力抜群なのが、37歳の若き施設長。本人も元は依存症患者なんだが、大学時代から博打にはまり、消費者金融から600万借りたうえ、会社の金まで着服して解雇されたという豪傑である。
治療は3ヶ月の共同生活で行われ、ケータイ没収、博打に手出しできぬよう小遣い1日千円、無断外出禁止と厳しい。
問題は食費や講習費などが60万かかることで、そんな金があったらWIN5を半年は買えるのにと普通は考えてしまう。それこそが病気なんだからさっさと入所しろと言われたら、60万を馬券で捻出しようとしてヘタばるだろう。入所すらできない末期患者はどうすりゃいいの?
天竜川の川下りで観光客が亡くなった事故には胸が痛む。運営側や船頭に、こんな穏やかな川で…といった慢心があったのは間違いなく、ライフジャケットなしで船に乗せていたのには驚く。着用を嫌がる客には、「死んでもいいんですね」と脅してもいいぐらいなのに。
ボクは長年、釣りをしているので、いつも装備は完璧である。今まで海には3度転落。3度目は磯から落ちて負傷し、単独ではい上がれず周囲に助けられたが、ライフジャケットのおかげで今生きている。堤防やイカダの上で仮眠する時は、固定したロープを腕に巻いて寝る。
備えあれば憂いなし。さすが、先人はいいことを言う。何事にも万が一に備え、万全を期すのがボクの信条である。
だからWIN5でも、人気サイドはちゃんと押さえ、一発ある馬にも目を配る。万が一のための備えは万全である。なのに、憂いだらけだ。毎週憂いている。死にそうである。競馬を知らん先人はこれだから困る。
WIN5に入門したいので戦略を授かりたいと、Y村氏がボクの事務所にご来訪。かつては某局の名物プロデューサー、今は某大学の教授である。
この方は血圧の急変によって気を失う持病があり、今まで29回、救急車で運ばれている(「搬送のプロ?が語る正しい救急病院選び」という本を執筆はしたが、どこも出版してくれないとか)。
昔、ファイトガリバーが勝った桜花賞で財布が折れ曲がらんほどの払い戻しを受け、興奮して気絶したが、横にいたボクが彼のポーチから薬を取り出して口に放り込み、命を助けたというウソのような実話がある。
WIN5は4つ当てた時点で動悸が激しくなりますよと体験談を語ると「やっぱりそうなるか」と顔を引きつらせた。
「で、5つ目で1億ハズしたらどうなる?」
「間違いなく救急車」
「1億当たったら?」
「間違いなく死にます」
「う~ん、当てて死ぬかハズして死ぬか、それが問題だあっ」
勝手にしなはれ。
原子力安全・保安院のやらせ事件に関連して、責任者が更迭された。賛否を問う集会ではこんなの当たり前と思っていたので、驚きもしない。ただ悲しいのは、買収されるなどして、その片棒を担ぐ住民がいるということだ。
ボクは大学時代に「やらせの研究」という論文を書き、放送作家になって際どいことを何度もやった。だから当然、番組のやらせは全部見抜く。今もクイズ番組を始め、そうしないと成立しない番組やコーナーがたくさんあるのは事実であり、家でテレビを見ながらそれを解説するので、家族はもう、斜めからしか番組を見られなくなった。かわいそうである。
JRAもやらせをやっている。WIN5導入当初、荒れる1000mの芝を強引に新潟のメインにガンガン持ってきて、爆裂配当をアオったりしているのである。
ボクはダマされないのだ。ちゃんと釣針が見えているのである。ただ、エサだけかじろうとして掛かってしまうだけなのだ。連敗継続中!
作家の小松左京さんが亡くなった。「日本沈没」は名作で、それに近い現象が今年、現実に起きてしまった。
小松さんは自然をなめるなという警鐘を鳴らし続けたわけだが、それ以上に鋭いところは、「科学」を野放しにするなと提言し続けたことである。まったく同感だ。
科学者の多くは、面白いことがあればやらないと気が済まない人たちである。クローン、精子バンク、代理母…。何かと理屈をつけ、かなりいらんことをする。核開発もしかり。科学技術の名のもとに、素人を煙に巻いて遊びの予算をぶん取る手口は巧妙であり、小松さんは昔から、それを見抜いていたのだ。
競走馬の研究所が宇都宮にあるが、馬券に役立つ研究はほとんどされていない。かつてボクが二桁着順の馬が連闘で一変するメカニズムを質問した時も、科学的な答えが出ず、落胆したものだ。
2億円当てたら、馬券を科学する研究所を自分で立ち上げてやるぞ。死ぬまでには何とかするので、応援よろしく。
先週はグリーンチャンネルのロケで新潟遠征。暑いの何の。WIN5ゲットだけを目的とし、ボクを含め出演者3人が協議して買い目を決め、共同馬券で大勝負する番組である。
そのうちの1人は夕刊Fで予想を書いているI丸博司さんで、彼は1億3千万が出た日、⑧⑤⑬①番人気と入ったWIN4までをすべて当ててリーチをかけ、最後の22人に残ったものの、エプソムCでたかが1番人気のダークシャドウに勝たれて憤死するという希有な経験を持つ。ノイローゼになったはると思っていたが、結構、元気だ。
3人だと張れる点数も限られるので、スタッフ一同も金を出し、3千点張りするとのこと。2億円ゲットの瞬間をカメラに収めたいのでとディレクターは言う。この若者の意欲には賛同するが、お蔭でえげつないプレッシャーである。
安いとこ安いとこと入って18万馬券を当て、WIN5トリガミの瞬間をカメラに収め撤収した。それはそれで貴重な番組。放送は8月だ。
法然上人のDVDの脚本を依頼され、今、その追い込みで実は競馬どころではない。
法然上人二十五霊場というのがあり、すべて上人ゆかりの寺。どこも荘厳で美しい。
ボクの義弟は四国で観光バスの運転手をしており、八十八ヶ所巡りのお遍路さんを運ぶ仕事もしているが、お年寄が車内で死亡するケースに何度か遭遇している。寝てるおばあちゃんに「次のお寺に着きましたよ」と声をかけると、お亡くなりになってるんだそうだ。その死に方には賛否あると思うが、皆さん無理をなさっているようだ。
それに比べ二十五霊場はあまり知られていないが、こちらは京都が中心で(一部、奈良や伊勢もある)、お手軽と言えばお手軽。すべて参拝証明の御朱印も頂けるので、超オススメである。
この仕事が終わったらボクも真剣に巡るつもりだ。運動にもなるし、何より、あまりに馬券が当たらないので、お念仏を称えるぐらいしか手が残されていないように思うからである。
先週はWIN5が4つ終わった時点で、二人の先輩方から立て続けに電話が入る。「北野君、実はな、今、4つ当たってんねん」。荒い鼻息が聞こえる。
フィニッシュのラジオNIKKEI賞、K氏は②⑦⑩⑬の4点買ったと言う。人気サイドだが、「当たったら20万はつくでしょう」と言ってあげると、「そやろか」とますます興奮気味である。
T氏は何と、②④⑤⑥⑦⑧⑩⑪⑫⑬の10点張りだ。「これはもう、当たりますね」「そやねん。初めてWIN5制覇や」「おごって下さい」「まかしといてんか」。
人気馬の⑩が勝ち、二人とも当てはった。その配当が何とまあ、1万9680円である。キャリーオーバー分もクソもない、最低の配当だ。
ボクに笑われる前に、二人から即、電話。
T氏「初のトリガミがWIN5て。我が馬券史上最低の出来事やっ」。
K氏「人に言われへんでこれ。ネタにすな。サンスポに書くなよっ」。
北野「そんな、書きませんって」。
ついに2億円が出てしまいやがった。キャリーオーバーも。もうイヤ。買い続けなしゃーないわ。地獄。
日曜の晩ご飯は独りで外で食べてくれないかと嫁ハンが言う。WIN5が終わるたびにタメ息ばかりつき、機嫌が悪いボクの相手をするのが大変なんだそうだ。
愛する妻よ、スマン。2億円をお膳の上に並べて記念撮影する日まで辛抱してくれ。その時にはおまえが我慢してるもんは何でも買うたる。スーパーのチラシ見て安いもんを探す生活から脱却させたる。商品を千円分買うとメロンパンが1円になるという広告につられて無理に千円分買うな。俺が肥えたために着れなくなったヨレヨレのTシャツ着て買いもん行くのもやめろ。タダ券当たったと張り切って日帰りバスツアー行く趣味も考え直せ。牛乳パックを再利用して作った小物入れも捨ててええから。ああ、ほんまやなぁ、この世に競馬さえなければ…。
以上、妻へのザンゲの手紙でした。皆さんも書くように。
先週の日曜はH紙に競馬コラムを書いている演出家のN藤氏と淡路島へチヌ釣りに。
船の約束は夕方4時半で、ボクが車で彼を拾ったのが2時頃だ。移動時間に競馬のピークを迎えてしまうため、出発前にWIN5を共同買いし、完全装備である。
少し車を走らせるとカーラジオからファンファーレ。出石特別がスタートしてまずは的中。続けて2発目を当て、3場メインの頃は高速を出て洲本市内である。ここで3発目が的中。こうなるともう、車を真っ直ぐ走らせる自信はない。エサ屋の駐車場まで飛ばして車を停め、ここで4発目が的中してリーチ。フィニッシュは5分後なので、もう車を出られない。
5発目、エサ屋の駐車場でわめき倒す異様な二人組。頼りの穴馬エーブダッチマンが2着に負けて、全部パァである。何もかもパァだ。激しい脱力感で釣りどころではなく、2時間で引き返す。
ああ、WIN5。人の楽しみや生きる力まで奪ってしまう、恐ろしい馬券である。