今、ボクの周りで大流行している馬券、それは驚くなかれ単複である。もっとも原始的かつシンプルな馬券だ。
この「シンプル」こそが最大のウリで、「この馬だっ」と思ったらその単複を買えばいいというシンプルさは、「馬券を間違わない」ことを意味する。つまり、3連単で人気薄の軸馬を当てながら相手が抜けたり、馬単の配分を誤って儲け損ねたりというミスが一切、発生しないわけである。
邪念を捨てて高目を追求せず、1年間、単複だけを買い続けると相当浮くことは、既に自分で立証済みだ。ただし、単を2割、複を8割の配分で買い、取捨の決定は、単ではなく複のオッズで決めることが絶対ルール。単はオマケと考えることが肝要で、単だけでも複だけでも勝てない。
これを守り続けてキツい勝負を避けると、たとえ老後に年金制度が破綻しようが、競馬がある限り生きていけるのだ。
しかし、ボクは死ぬかも知れない。浮き分をWIN5に突っ込んでいるからである。名づけて、両極端作戦。小遣いが目減りしないのがこの作戦の自慢だ。そんな小さいことだけが自慢というのもどうかと思うけど。
ノーベル賞を受賞した山中教授は、まさにボクと同世代。研究の内容も独創的で素晴らしいが、この人の何が尊敬できるって、研究費用捻出のため自分がマラソンで完走することを条件にネット上で寄付を募り、実際に走りまくって900万も集めたことである。極めて珍しい、誠実でマジメな錬金術師なのだ。
何だか自分が後ろめたくなってきたぞ。iPSどころかiPadも使いこなせんくせに、馬券なんぞで2億稼ごうというこの姿勢、本当にこれでいいのかと思う(コーナー立ち上げてもらってから言うのも何だけど)。
それでも一応、ボクだって大学で教えているのだ。中身はともかく、黒板に文字を書く速さでは勝ち負けである。専用の部屋だってあるぞ(講師専用の大部屋だけど)。個人のロッカーもある。自慢は、大学側の配慮なのか、ボクのロッカーが喫煙ルームに設置されていることだ。笑うなっ。
研究だって負けていないぞ。特に数式。足し算すると同じ12でも、掛けると[2×2×2×3×3]と[2×2×2×2×4]ではどっちが費用がかさむか。ボクだってこの研究を極めて、2億の報酬をもらうのだ。
これを書いている今は日曜の3時半である。WIN5の格闘中であったが、たった今、3発目を外して死んだ。的中用の原稿は用意していたのだが、外したために慌てているわけである。この強気な姿勢は、かなりの確率で裏目に出る。
ボクはかつて「週刊トラトラタイガース」の台本を書いていたが、日曜夜に収録し、少し時間をおいて深夜に放送するパターン(業界用語で「撮って出し」と言う)だったため、日曜当日のナイターで阪神が勝った場合と負けた場合の、両方の台本を用意しなければならなかったのだ。勝ち負けで番組の構成が変わるからである。
だが強気一辺倒のボクは、わが阪神の勝利を信じ、当日負けパターンの台本を準備しなかった。ところが、これがまた裏目の嵐。よく負けよるのだ。慌てて書き始め、スタッフにドえらい迷惑をかけたものである。
どうせアカン。当たりそうもない。勝負前のこういった発言は、たとえ冗談でも絶対に禁物である。競馬の神さんは聞いてはるのだ。「2億円はいつか当たる」。そう信じ続け、生涯で1億5000万円ぐらいは突っ込みたいものである。
先週、華々しく新装オ―プンした当欄だが、よりによって台風で発売中止となった。開始以来初の中止が新装オープンと重なる確率は、2億分の1である(ウソ)。
サンスポWIN5予想は以前からずっとあったことから、あれはどう考えてもボクのせいだ。大迷惑をおかけしたことを心よりお詫びし、今後は日頃の行いを改めることをここに誓いたい。そしてこれからはボクのことを「嵐を呼ぶ男」と呼んでもらいたいものだ。
先週はボク主宰のグループ10人が集結して2ヶ月に1度の大勝負をする日だったが、あのWIN5が仮に2日間にまたがって行われていたら、当たっていた。ただし1920点張りだったので、トリガミ確実である。幸運の嵐と認定する。
あの中止で思いついたのだが、WIN5を、現行の日曜5クラ馬券に加えて、土曜4クラ+日曜1クラ馬券の2本立てにするという案はどうだろう。土曜に4鞍当ててリーチを掛けた人は、悶々と眠れぬ夜を過ごさなければならないという恐怖の馬券である。
とまあ、こんなことばっかり考えて、WIN5に人生振り回されてますわ、ほんま。
日曜版からは長く遠のいていたが、久々に復帰を果たした。ますますのご声援よろしく。
導入以来、皆勤賞でWIN5ばっかり買っているので、鞍替えさせてもらって光栄である。過去に200万級などの小物は引っ掛けたが、2億円はその百倍だ。見上げれば首に激痛が走るほど高い山ではあるものの、能動的に2億当てられるギャンブル、真剣になってもいいだろう。よって、タイトルも大きく出た。
何と言ってもこの馬券の魅力は、全国の馬券師が、胴元によって指定された同じ土俵でガチンコ勝負できる点に尽きる。泣き言は無用。メラメラ燃えるのである。
日頃はチームで共同購入していて、大金を毎週突っ込むことは物理的に不可能なことから、600点前後買う「大潮日」と200点前後買う「小潮日」を交互に繰り返して勝負している。当欄でもこのコンセプトで買い目を決めたい(番組の難解さ次第で勝手に大潮日を続けることもある)。
また、タイトルにちなみ、その日、肝になる穴馬を「容疑者」として指名し、お役に立ちたい。
さあ、一日も早く2億円を炸裂させ、立派に死んでみたいと思う。